研究概要 |
CeドープAlF_3ガラス[35AlF_3+13YbF_3+52(Mg+Ca+Sr+Ba)F_2]に紫外光照射によりブラッグ回折格子を作製するため、KrFエキシマーレーザー照射にともなう光吸収変化(Δα)をもとに、I.光照射およびII.試料調整に関する最適条件を調べた。I-1.照射密度:Δαの効率は、光束密度の3〜200mJ/cm^2の範囲で、それに比例して増加した。KrFレーザーの光子エネルギー:5.0eVは、Ce^<3+>の吸収第一ピークに相当しており、このことは、Ce^<3+>の直接励起により光反応が駆動されること、回折格子生成が積分線量のみに支配されることを示唆している。I-2.照射回数:Δαは、5.5eV以上のエネルギー域ではKrFレーザー(光束密度:88mJ/cm^2)の照射回数を増すとともに単調に増加したが、5.5eV以下では200回を境に減少に転じた。従って、200回以上の過剰照射は、回折格子生成に効果がないと予想される。II-1.試料の熱処理:AlF_3ガラス試料を、予め軟化点直下の400℃で30分熱処理しておくと、その後のKrFレーザー照射,熱処理でΔαは可逆的変化を繰り返すことがわかった。このことは、実験の進行上ばかりでなく、回折格子の応用範囲を拡大する上で有益である。II-2.試料のCe濃度:Δαの効率は、Ce濃度0.05〜4.0%の範囲で、それに比例して増加するが、Δαの飽和値には大差ないことがわかった。このことは、後者が試料中に予め存在する電子トラップ数に依存することを示しており、これを同定・制御することが高効率な回折格子を作製する上で最重要課題となる。以上の結果は、第58回応用物理学会講演会(予稿集2,p880)、第52回同東北支部講演会(予稿集p37)において発表した。一方、光照射にともなう屈折率変化および回折格子の反射率を測定するために、半導体レーザーをプローブとした検出・処理系の製作を行った。現在、システムがほぼ完成し、平成10年度中には上記の結果が得られるものと期待される。
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