1.測定原理の構築 磁場内で回転する導体に誘起される電流と、導体外の誘起磁場の関係を、ビオサバールの式に基づき特定観測点について計算した。 2.簡単な導体系による誘起磁場の測定 円筒状導体として固体ガリウムと液体ガリウムを回転させ、誘起磁場を測定した。前者について磁場分布は直観的な対称性の考察と一致したが、磁場強度は計算値よりも約2桁も小さい結果が得られた。分流効果を考慮することにより、より精密な解釈を与えた。 3.誘起電流のジュール熱測定 誘起電流の推定は逆問題的なテーマなので、他の側面からの裏付け的データが必要である。有力な非接触測定法として赤外線サーモグラフィにより、導体表面の温度上昇とその分布を測定した。計算値と一致する傾向が得られたが、回転駆動エネルギー(消費電力)からの見積もりとくらべ、絶対値が約70%であり、理論面の不備を解析しつつある。 4.今後の研究の展開 表面電位の測定という別の側面から、より直接的に誘起電流を確認し比較基準を確立して、本手法の特長を生かすこと。液体ガリウムの測定結果に見られる電流飽和、減少のメカニズムを解明して現実の系の理解に近づけたい。
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