微小角入射X線散乱による結晶成長過程のその場観察

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650016
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 藤居 義和 神戸大学, 工学部, 助教授 (80238534)
• 研究分担者: 吉田 虚太郎 神戸大学, 工学部, 教授 (60031085)
• キーワード: 超高真空 / 表面 / X線 / 結晶 / 結晶成長 / 微小角入射X線散乱 / 表面ステップ / 表面荒さ

研究概要

平成9年度は、本研究計画通り、まず、PbSe(III)表面について、微小角入射X線散乱の実験を「超高真空表面X線回析装置」(現有設備)を使って行い、微小角入射X線散乱強度のデータを蓄積した。また、並行して小角X線散乱の計算機シミュレーションを行い、実験データと計算結果を解析して「X線二次元検出システム」に必要な仕様を策定した。また他にも、NiPめっきAl、Tiコーティング鋼について微小角入射X線の散乱強度測定を行い表面・界面の構造解析を行った。また、真空中における、多結晶銀表面、多結晶鉄表面の常温と500°Cにおける状態について、微小角入射X線の散乱強度測定を行った。その結果、高温において鉄表面のラフネスが変化することを、X線散乱強度分布の変化から見いだした。次に、「X線二次元検出システム」を設計し、また、超高真空散乱層を一部改造し、「超高真空表面X線回析装置」に、新しくこのシステムを取付けた。今後、この装置によって、散乱X線強度の二次元角度分布をその場で観測することにより、散乱X線強度分布の中に含まれる結晶表面からの情報信号と誤差を分離することを試みる。X線を超高真空散乱チェンバー内の成長中の試料表面に微小角で照射し、小角散乱、あるいは回析したX線の二次元強度分布をその場で測定することにより、成長表面のステップ密度の変化、表面歪の変化等を解析する研究を進め、実験室規模の限られた強度のX線光源を使った微小角X線散乱においても検出できるような、表面の構造変化に最も敏感な量を見いだす研究を進める予定である。

研究成果

• [文献書誌] Y.Fujii: "In situ Observation of Layer-by-layer Growth by Surface X-ray Scattering using a Rotating-anode Source" Surface Sciense Letter. (in press) (1998)
• [文献書誌] Yoshikazu Fujii: "A compact UHV X-ray diffractometer for studying surfaces and interfaces" Journal of Synchrotron Radiation. 5. (in press) (1998)
• [文献書誌] M.Mannami: "Energy loss of scattered ions at glancing-angle incidence on the crystal surface" Radiat.phys.Chem.49. 623-629 (1997)
• [文献書誌] Yoshikazu Fujii: "A compact UHV X-ray diffractometer for surface glancing scatterings using a rotating-anode source" Review of Scientific Instruments. 68. 1975-1979 (1997)
• [文献書誌] Y.Fujii: "Structural Investigation of Long-Period Tetragonal Bi-Mn Alloy Phase" Proceedings of the 6th International Conferense on Quasicrystals. 26-30 (1997)
• [文献書誌] 藤居義和: "超高真空表面X線回析装置と結晶表面の新しい評価法" 神戸大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリ-年報. 2. 68-73 (1997)
• [文献書誌] K.Makajima: "Advances in the Understanding of Crystal Growth Mechanisms" Oscillation of the intensity of scattered energetic ions from growing surfase, 309-321 (1997)