1.ネマチック液晶を、一般的な形の引力ポテンシャルで相互作用する剛体棒状分子系とするモデルを用い、配向した高分子膜と接する液晶の界面張力を、平均場近似によって理論的に計算した。この結果をすでに計算した自由表面、I-N界面、固体基盤界面での結果と組み合わせて、界面における液晶分子の配向方向やアンカリング強度と界面高分子の形態との相関を詳しく検討し、実際上重要な液晶のさまざまな界面現象がミクロな立場から統一的によく理解できることがわかった。これらの理論を使って実験データを解析することにより、それぞれの液晶分子を特徴づける引力ポテンシャルについての基礎的知見が得られるた。 2.主鎖または側鎖に棒状低分子を組み込んだ高分子液晶の統計理論を提案した。高分子液晶の自由エネルギーを配向秩序パラメータの関数として表わす式を与え、安定な相構造、相転移温度、相転移エントロピーなどを、組成低分子の性質とその重合度、組成低分子間の相互作用ポテンシャル、結合スペーサーの物理的性質、などと結びつけて理論的に計算した。この理論的モデルは、高分子液晶の物理的諸性質をよく知られた低分子液晶の性質と比較検討して統一的な立場から理解するのに有効であり、実験結果の解析から有用な基礎的知見が得られた。
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