研究概要 |
本年度は(1)水素導入法の検討・確率、(2)ショットキダイオードの製作、(3)DLTS測定、(4)FT-IR測定、の4つの項目の研究を計画した。 (1)の項目に関しては、化学エッチングと水素イオン注入を試みた。n型シリコンのショットキダイオードのC-V,DLTS測定により、化学エッチングによる水素導入を確認した。電子線照射により導入された空孔関連欠陥と水素の相互作用を検討し、水素関連欠陥の形成を観測した。また、観測した水素関連欠陥は、水素イオン注入により導入される水素関連欠陥と同一であることが判明した。 (2)の項目に関しては、p型シリコンに対してAl,Sm,Mgのショットキ電極材料を試みた。ダイオードの特性はSm,Mgで良好なものが得られたが、両材料とも酸化しやすく安定性に問題がある。Alでは、障壁の高さが小さいという欠点があるが、抵抗率が高い試料に対しては良好なダイオード特性が得られた。また、数オーム程度のものに対しては、エッチングで水素導入後のものではダイオード特性が得られている。これは、水素導入によるボロン不活性化により表面が高抵抗化したことによると考えている。しかしながら大量の水素導入という点では、エッチング法は問題があり、目的としたp^+シリコンではダイオードの製作は実現していない。他の方法の検討が必要と考えている。 (3)の項目に関しては、通常抵抗率p型シリコンおよび水素イオン注入試料のDLTS測定を行いつつある。低抵抗率試料の測定は、ダイオードの製作が成功してからになる。 (4)の項目に関しては、化学エッチングによる水素導入ではフリーキャリア吸収を押さえる事ができず、酸素の信号をp+シリコンでは確認できていない。ショットキダイオードの製作と同様、他の水素導入法を検討する必要がある。
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