1. 昨年度の研究成果を第14回国際電子顕微鏡学会議(メキシコ、カンクン)で発表した。 2. 単磁区構造をもつバリウムフェライト微粒子の周りのミクロな静磁場を示す3電子波干渉パターン及び干渉顕微鏡像が平山((財)セラミックスセンター)らによって実験的に得られているが、微粒子からどの程度の磁束が発生しているかは明らかにされていない。そこで、単磁区構造をもつバリウムフェライト微粒子を1つの磁気双極子でモデル化し、磁気双極子の周りのミクロな静磁場に基づく3電子波干渉パターンの計算機シミュレーションを行った。先ず、磁気双極子が電子干渉縞と任意の角度をなす場合の電子波の位相シフト量を表す式を導出し、磁気双極子と干渉縞の方向が任意の角度をなす場合の3電子波干渉パターンの計算機シミュレーション法を確立した。種々の磁荷を仮定して3電子波干渉パターンの計算を行った結果、磁荷50h/eでの計算パターンは上記の平山らの実験パターンとほぼ同じ位相分布を示すことが明らかとなった。そしてバリウムフェライト粒子から出ている磁束の密度は256ガウスであることが判明した。 3. ミクロな電磁場を直接観察する方法として3電子波干渉法は極めて有効であるが、2個の電子線バイプリズムを必要とする。そこで、1個のバイプリズムで、3電子波干渉法の場合と同じような電磁場を反映した干渉パターンを直接得る全く新しい方法を提案し、その有効性を明らかにした。この方法はバイプリズムが1個あればよく、電子源のコヒーレンスも調整不要であるので、より簡単な方法であり、検討を続行中である。 4. 昨年度と本年度の研究成果をとりまとめ、印刷発表した。
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