研究概要 |
本研究はダイヤモンド薄膜の気相合成時において重要となる.資料表面で生じている炭素-水素反応過程を動的に追跡することを目的としている。今年度は上記目的の準備段階として雰囲気ガス組成分析のための四重極質量分析計を購入し.既存設備である走査型オージェ電子顕微鏡に取り付け、動作確認を行い.良好な結果を得た。 次にパラディウム管とタングステンフィラメントからなる原子状水素発生器を試作し,同様に走査型オージェ電子顕微鏡に取り付け動作確認を試みた。基底真空度5×10^<-9>Torrの真空度において.パラディウム管を約700°Cまで加熱したが、四重極分析計では水素ガス分圧の増加はまったく認められなかった。この原因についてはパラディウム管壁面積が充分でなかったことなどが考えられるが.詳細については不明である。これに関連して水素吸蔵合金について調べたところ、焼結ステンレスが水素ガスフィルターとして利用できるという情報を得た。焼結ステンレスはステンレス製フランジとの溶接の点でも相性が良く、適していると思われる。現在、焼結ステンレスパイプを購入し、原子状水素発生器2号機の設計・試作にとりかかっている。いずれにしても充分な水素ガス分圧が得られない場合には、従来のように水素ガスボンベとバリアブルリ-クバルブを組み合わせた方式を再検討せざるを得ないであろう。以上の実験と並行して反応励起用の紫外線レーザ(N_2レーザ)の立ち上げを行っている。
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