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本研究では、飽和吸収を利用した位相共役波発生効率の偏光特性および時間応答特性に注目し、色素のエネルギー準位を4準位系で近似したモデルに基づく解析結果と実験結果を比較することにより、位相共役波の特性を決めるパラメータを明らかにすることを目的とする。これらの特性は、有機色素分散薄膜による位相共役波の偏光特性・記録特性を利用した実時間光情報処理デバイスへの応用において最も基礎的な特性となるものである。
本年度は、昨年度に引き続きキサンテン系色素の飽和吸収特性に注目し、購入物品を用いて、位相共役波の偏光依存性および時間応答特性の測定を行った。その結果、以下のような知見が得られた。
1. 昨年度問題になっていた位相共役波の過渡応答特性における不安定性について、記録特性をもつ位相共役波のホログラフィ成分の特性を測定した結果、その原因が湿度や薄膜乾燥時の残留溶媒め影響によるものであることが分かった。また、これらの影響は薄膜作成時の乾燥条件や完成した試料の保管条件に注意することにより除去できることが分かった。
2. 上記の点に注意して縮退4光波混合による位相共役波発生効率のポンプ光強度依存性を、ポンプ光とプローブ光を平行に偏光させた場合と直交させた場合で測定した。これらの結果を上記のモデルに基づいて解析した偏光特性と比較した結果、種々の条件の下で解析結果は実験結果を非常によく説明できることが分かった。また、偏光特性の応用上重要なベクトル位相共役波の発生条件についても理論的な予測と実験結果は一致した。
3. 位相共役波を用いた実時間干渉法への応用において、最適な薄膜パラメータや実験条件を理論的に予測して干渉実験を行ったところ、ほぼ所望の結果が得られた。
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