研究概要 |
本年度は(C_6H_<13>NH_3)_2PbI_4について縮退四光波混合測定を中心に研究をおこなった。いずれも測定試料は多結晶配向性薄膜、光源としてTi:サファイアレーザベースのOPA(パルス幅〜200fs)を用いた。測定温度は8Kである。 1)励起子共鳴領域での縮退四光波混合 最低励起子に共鳴するエネルギー領域で縮退四光波混合測定をおこない,(C_6H_<13>NH_3)_2PbI_4のX(^3)(-ω;ω,-ω,ω)の値を初めて測定した。X(^3)スペクトルは励起子とそのサイドバンドの吸収構造に対応した共鳴構造を示し、最低励起子共鳴点において1.6×10^<-6>esuにも達する。 2)緩和時間測定 縮退四光波混合測定によって得られた時間積分信号の形状から決定した励起子の横緩和時間はT_2=0.2psであった。また、トランジェントグレーティング法による測定によって縦緩和時間T^1=7psであることがわかった。上記1)とあわせて、この系の励起子が高速でかつ巨大な非線形光学応答を示すことを初めて示すことができた。 3)四光波混合過程に対する2励起子状態の寄与 励起光のピークエネルギーを最低励起子共鳴より低エネルギー側に設定し、励起子と励起子分子を同時に励起できるようにして四光波混合信号のスペクトル分解をおこなった。励起子分子-励起子遷移によるM発光のエネルギーに現れる信号に加えて、それより高エネルギー側の領域にブロードな信号が観測された。このことは、2励起子状態が弱く結合した2励起子状態と安定な励起子分子とからなっていることを示唆しているものと考えられる。今後,よりスペクトル幅の狭い光源を用いてこのエネルギー構造について調べていく予定である.
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