我々はレインボー法と名付ける新しい液体の屈折計を開発してきた。この方法は従来のプリズム法屈折計にはない、いくつかの特徴を有する。それは、液体の屈折率変化を干渉法による屈折率測定に近い高精度でかつリアルタイムでできる可能性をもっていること、またその屈折率の絶対測定も可能であることなどである。昨年は主に幾何光学を用いてこの装置を理論的に解析する他、波動光学的取り扱いについても方向性を明らかにした。本年度はこの波動理論をさらに改良し、液体の屈折率を与えることで干渉縞の強度分布を完全に計算できるシュミレーション法を完成させた。これによって、逆に、測定されるたレーザービームの干渉縞より液体の屈折率を求めることが可能となった。リニアーイメージセンサーでとらえる干渉縞の強度分布から自動的に試料の液体の屈折率が計算できるコンピューターソフトも開発した。実験装置においても、試料の温度測定の精度を千分の一度の精度まで高め、また、装置の機械的安定性も向上させた。屈折率測定の再現性および測定精度の検討を標準試料の水を用いて行い、その結果、屈折率変化10^<-7>が確実に求められることを実証した。本研究の目的の一つは、この屈折計を迅速な水質検査法として用いることである。昨年度の研究より通常の河川や地下水の中に含まれるカルシュウムなどの元素が屈折率に大きく影響していることがわかったので、屈折率測定法の開発と水中の元素分析を迅速に行う方法について検討を行った。その結果、従来から我々の研究室で行っているレーザー発光分光分析法が液体試料の場合でも適用できることがわかった。水を蒸発させることによって生じた残留物をシリコングリースで回収し、銅板を補助ターゲットとしてヘリユム雰囲気の中で短パルス炭酸ガスレーザーを照射した。そのレーザープラズマの発光を分光分析に用いることで好結果が得られることを確認した。
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