現在、物性研究の面から、また河川や海水などの環境水の汚染度を測定する目的からも、簡便かつ高精度の液体の屈折率測定法の開発が求められている。我々はレインボー法と呼ぶ新しい液体の屈折率測定法を開発した。この方法は自然界で見られる虹の仕組みと密接な関係がある。円柱状のセルに試料を入れレーザー光線を最小振れ角となるよう入射させると、セルから出てくるレーザービームは干渉縞をともなっている。この細かい干渉縞が、液体の屈折率が変化することによって生じるレーザー光線のわずかな振れを観測するマーカーとなり、高い精度で屈折率を測定することができる。この干渉縞の強度分布やその振れをホイゲンス・フレネルの原理にもとづいてコンピューターシミュレーションする方法を開発した。実験結果と計算結果は完全に一致することを確認した。また、逆に、測定されたレーザービームの干渉縞の強度分布より液体の屈折率を求めることが可能となった。干渉縞の変位の測定には最も変位が敏感となる干渉縞強度の中間点を用い、かつ約十個の複数の中間点の変位を求めそれを統計的に処理する方法を採用した。リニアーイメージセンサーでとらた干渉縞の強度分布から自動的に試料の液体の屈折率が求まる装置も開発できた。屈折率測定の再現性および測定精度の検討を標準試料の水を用いて行い、その結果、屈折率変化10^<-7>が確実に求められることを実証した。また、このシミュレーションによって、屈折率としての感度と、使用する最小振れ角の次数、用いるレーザー光線の波長、セルの半径やセルの肉圧の最適条件を決定し、今後の改良点も明らかにした。このレインボー屈折率計と市販の示差屈折計との比較実験もおこなった。地下水や河川の屈折率測定を多数おこない、それらの元素分析の結果と照合した。
|