赤外域の波長700nm〜3μmにおける差分吸収法(DIAL)計測の検知下限について、HITRAN分光データを用い詳細なシミュレーションを行った。その結果、地球温暖化に関連したCO_2、CO、CH_4、N_2Oの4分子については、距離分離DIALが実現可能であることが判明した。 次に、Nd:YAGレーザー励起チタンサファイヤレーザーを開発し、このレーザーを用いて吸収線への同調を行った。チタンサファイヤレーザをエタロンで狭帯域化し、DIAL計測に必要な同調技術の開発を行った。吸収線への同調にはOG法とPAS法を併用して行った。室内の音響ノイズをさけるためPASセルを二重管にし、セルの中を真空に引き測定対象分子を詰められるように改良したものを用いた。本研究では、4分子の中でもっとも測定可能性の高いCO_2分子への同調実験を行った。実際に、CO_2吸収線に同調したレーザー光を用いて、タ一ゲットライダー(LPAL)で観測を行った。その結果光路長180mとして、HITRAN分光データを用いて、吸収プロファイルのシミュレーションを行ったところ、実際の二酸化炭素了330ppmと一致した。最適ラインでなくても400m程度はDIAL計測できることがわかった。さらに測定域を拡大するには最適吸収線を用い、レーザーエネルギーを大きくし、望遠鏡を大きくすればよいことがわかった。
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