研究概要 |
赤外域の波長700〜3μmにおける差分吸収ライダー(DIAL)計測の検知下限について、HITRAN分光データを用いて詳細なシュミレーションを行った。その結果,地球温暖化に関与したCO_2,CO,N_2O,CH_4の4分子については,距離分解DIALが実現可能であることが判明した。本研究期間中に、その実証のための実験を行い、シミュレーションの妥当性を検討し、性能を評価した。 光源として出力600mJ(波長532nm)のNd:YAGレーザー励起のTi:sapphireレーザーを製作し、さらにこの誘導ラマン散乱の第2ストークス線を利用した。このTi:sapphireレーザーは、発振器と2段の増幅器からなる。発振器は、分散プリズム3個とソリッドエタロン2枚により波長700〜1μmで波長可変であり、2段の増幅器後に、波長780nmでスペクトル幅20pmの30mJの出力を持つ。この光源にラマンシフターを使うことで波長2μm付近で出力1mJの可変波長光源を得た。この光源と口径200mm望遠鏡とInGaAs赤外検出器からなる差分吸収ライダーを構成した。実際に、この装置を用いて、大気中のCO_2計測を行い、その性能評価を行った。距離300m〜700mの範囲をCO_2濃度分布の計測に成功した。この計測は、差分吸収ライダーとしては、初めての二酸化炭素の計測となった。今後は、さらに改良を行うことで、他の分子についても計測が可能である見通しを得た。
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