本年度は、512MBのメモリとスピードの早いDEC Alphaコンピュータを導入し、大きなメモリと演算スピードを要求される誘電体トレンチの形状測定シミュレーションを行った。また、数式処理ソフトのMATLABやMathmaticaと、付属のウェーブレット解析ツールを導入し、干渉分光強度データのウェーブレット解析を行った。そして、トレンチ形状の光波による測定限界を調べた。具体的な研究内容は以下に示す通りである。 ・直方体状の半導体トレンチを誘電体の2次元溝と仮定し、境界要素法シミュレーションにより、干渉分光法より得られる反射強度分布を求めた。そして、FFTによる信号処理より、溝の表面と底面との光の伝搬時間差を求め、溝幅や偏光の違いによるトレンチ形状測定の限界を調べた。また、溝内での光波の遅延特性も調べた。金属トレンチでは、溝方向に磁界成分を持つH偏光では、遮断周波数付近でも遅延歪が生じないが、E偏光では遮断の影響を受け、遮断周波数に近くなると遅延の歪が大きくなり、FFTによる深さ測定が出来ない。しかし、誘電体の場合には、H偏光、E偏光ともに遮断の影響が見られることが確認された。 ・数式処理ソフトを用いて、ウェーブレット解析の基本技術を学んだ。そして、干渉分光強度データにウェーブレット処理を施し解析を行った。これにより、周波数系列(干渉分光法)の信号より、時系列(パルス入力)の信号データをシミュレーションする必要が分かってきた。 ・時間領域差分法(FDTD法)を用いた3次元解析により、円柱状トレンチからの光波散乱特性を求めるソフトウェアの作成に取り組んだ。
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