干渉分光データのウェーブレット解析による半導体トレンチ形状測定

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650055
• 研究機関: 玉川大学
• 研究代表者: 白崎 博公 玉川大学, 工学部, 教授 (30154371)
• キーワード: トレンチ / 干渉分光法 / ウェーブレット / 半導体 / 光測定 / 非破壊検査

研究概要

本年度は、昨年に引き続き、多数のウェーブレットに関する研究発表がある米国での国際信号処理学会(ICSPAT'00)で、成果の一部を講演した。具体的な研究内容と成果は以下に示す通りである。
●半導体トレンチを誘電体の2次元トレンチ溝とし、正面から2次元ガウスビームを照射した際の干渉分光波形を境界要素法を用いて求めた。数式処理ソフトMATLABを用いて干渉分光強度データに連続ウェーブレット処理を施し、溝幅が光波の遮断波長に近い場合の深さ測定の限界を調べた。連続ウェーブレット処理では、横軸は周波数、縦軸はスケール(時間の逆数に比例)、信号強度はz軸に表れる。特に、遮断の現象が生じる、溝方向に電界成分を持つE偏光は、FFT処理では溝幅が遮断幅に近づくと実際より深く測定される。しかし、ウェーブレット処理では、遮断を受けない周波数部分に表れる信号のスケールより深さ情報を正確に得られる事が分かった。またE偏光は、誘電体中に漏れる光量が少なく、深い溝測定にも有利である。溝方向に磁界成分を持つH偏光は遮断の性質は無いが、溝中に漏れる光量が多くて反射が減り、深い溝測定には不利である事が分かった。溝幅とスポットビーム幅を同じにしたり、ビーム幅を溝幅まで十分に絞れない場合には観測角度を正面方向から変えることにより、溝内の信号を有効に取り出せる事も分かった。また、解析に用いるウェーブレット関数の窓幅を狭くするとスケール軸での情報が少なくなり、最適関数を選ぶことが必要である事も分かった。
●ウェーブレット解析では各周波数毎に光波が反射して来る時間が分かり、E偏光では溝幅が狭い場合には各周波数で遮断になる幅が決まっているので、深さ毎に溝幅の変化するテーパ形溝形状を測定出来る事が確認された。

研究成果

• [文献書誌] Hirokimi Shirasaki: "Design charts by waveguide model and mode matching techniques of microstrip line taper shapes for satellite broadcast planar antenna."2000 IEEE AP-S International symposium and USNC/URSI national radio science meeting.. 1. 2000-2003 (2000)
• [文献書誌] 白崎博公: "干渉分光データのウェーブレット処理による誘電体トレンチ深さ測定シミュレーション"2000年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイアティ大会講演論文集. 1. C-3-51 (2000)
• [文献書誌] Hirokimi Shirasaki: "The depth measurement simulation for the dielectric trench by continuous wavelet analysis with interference spectroscopy."The internatioal conference on signal processing applications and technology, ICSPAT'2000. 1-5 (2000)
• [文献書誌] Hirokimi Shirasaki: "The design charts by waveguide model and mode matching techniques of microstrip line taper shapes for Klopfenstein and Hecken type microstripline tapers."2000 Asia Pacific microwave conference.. 1253-1256 (2000)
• [文献書誌] 白崎博公: "干渉分光データのウェーブレット処理によるテーパ形誘電体トレンチ深さ測定"2001年春季第48回応用物理学関係連合講演会講演予稿集. 3. 28p-P3-9 (2001)
• [文献書誌] 白崎博公: "干渉分光データのウェーブレット処理による誘電体トレンチ深さ測定"玉川大学工学部紀要. 36(印刷中). (2001)