・干渉分光法による半導体トレンチ深さ測定の際、円筒状トレンチの直径がサブミクロン以下になると、分光器出力情報の信頼性が低下する。この原因を調べるために半導体トレンチを誘電体の2次元トレンチ溝とし、正面から2次元ガウスビームを照射した際の干渉分光波形を境界要素法を用いて求めた。干渉分光強度データに、連続ウェーブレット処理を施し、溝幅が光波の遮断波長に近い場合の深さ測定限界を調べた。FFT処理では、周波数軸が時間軸に変換され、時間軸に光速度を掛ける事で測定周波数の帯域幅で制限されるとびとびの深さが求まる。しかし、連続ウェーブレット処理では、横軸は周波数、縦軸はスケール(時間の逆数に比例)、信号強度はz軸に表れる。よって、各周波数に対応した深さ情報を連続的に得ることが出来る。溝方向に電界成分を持つE偏光は遮断の性質を持ち、FFT処理では実際より深く測定されたが、ウェーブレット処理では、遮断を受けない周波数部分の信号を用いる事で深さ情報を正確に得られた。E偏光は、誘電体中に漏れる光量が少なく、深い溝測定に有利である。しかし、溝方向に磁界成分を持つH偏光は遮断の性質は無いが、溝中に漏れる光量が多くて深い溝測定には不利である。溝幅とスポットビーム幅を同じにする事や、ビーム幅を溝幅まで十分に絞れない場合には観測角度を正面方向から変えることにより信号強度が強くなる。さらに、解析に用いるウェーブレット関数の窓幅を狭くするとスケール軸での情報が少なくなり、最適関数を選ぶことの必要性も分かった。 ・次に、E偏光では溝幅が狭い場合には各周波数で遮断になる幅が決まっている事を利用して、深さ方向に溝幅が狭くなる2次元テーパ形誘電体トレンチのウェーブレット解析を行った。その結果、周波数が高い程、光は遅く反射して来る事が確認出来、深さと溝幅の形状測定を行える事が確認された。
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