固体レーザーの発振波長領域を拡大するための方法の1つに非線形光学結晶による波長変換法がある。その中で第2高調波発生(SHG)法はほぼ確立された技術として現在広範囲に用いられている。代表的な非線形光学結晶であるKTPやLBOの第2種位相整合を用いて第2高調波を発生させる場合、波面法線ベクトルを共軸とするいわゆるスカラー位相整合法を用いるのが一般的である。しかしこの方法では2つの基本波のエネルギー流であるポインティングベクトルは同軸進行とはならない。すなわち2つに分かれた基本波同士の間にもウォークオフ角が存在する。そのため第1種位相整合法の場合と比較して高調波発生効率が低下する。本研究ではベクトル位相整合法の考え方を用いて、基本波ポインティングベクトル同軸進行型第2種SHG位相整合法の解析法を確立した。その結果12mm長KTPで従来方の1.2倍、10mm長のLBOでは従来方の2倍の第2高調波を得ることができた。
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