研究概要 |
ポーラス・シリコンとアモルファス・シリコン薄膜の発光について研究した。 1,ポーラス・シリコンの発光 ポーラス・シリコンの強い赤色発光は応用上の観点から、または物理学の観点から多くの研究者の関心を集めているが、発光機構は依然としてよく分かっていない。我々は発光スペクトルの励起依存性を1.5eVから5eVにわたって注意深く測定した結果、もっとも注目されている赤色発光には最低エネルギーが存在し、それは1.4eVであることを明らかにした。さらに、励起依存性から、ポーラス・シリコン・ナノクラスターのバンドギャップE_gとそれからの可視発光スペクトルのピーク・エネルギーE_pの間には次の関係があることを明らかにした。 E_p=0.6E_g+0.52(eV).(1) これについて、平成10年3月にスペインで開かれるポーラス半導体国際会議で報告する。 2,アモルファス・シリコン薄膜の発光 アモルファス(a-)Si:H/a-Si_3N_4:H多層膜を利用して、膜厚が400,50,25,13,5Aのアモルファス・シリコン薄膜について、その発光と励起スペクトルの研究を行った。その結果、25,13Aの試料ではアモルファス半導体特有のバンドテイルが移動度端のところで局在状態と非局在状態に分裂することが分かった。これは電子のシリコン薄膜への量子閉じ込めの効果によると考えられる。この研究によって初めて移動度端の存在が明らかにされたと我々は考えている。
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