本研究の目的は、平成6、7年度一般研究C「能動型画像処理方式における最適荷重付け問題」における理論的研究をベースにして、モジュレーションスペクトロスコピーやその発展である能動型画像処理における汎用の最適荷重付けを実現するハードウエアーを作り、実用的な局面での最適化が行えることの実証を行う所にある。 この目的に添って、平成9年度にはまずモジュレーションスペクトロスコピーに対応する汎用最適化荷重付け装置とその動作確認用に用いる信号源シミュレーターの設計・試作を試みた。最適化荷重付け装置の構成としては、数値荷重用可変利得増幅器、信号積分器、信号からの雑音分散実時間推定部、ならびに滞在時間荷重制御をつかさどる変調部である。信号源シミュレーターを含めたシステムは独立した2台のパーソナルコンピューターを組み合わせ制御されている。 平成10年度においては、信号源シミュレーター部についてより高速化のためのハードウエアー改良とプログラム変更を行った。このような最適化荷重付け装置を使用して、光電子分光装置を模倣したシミュレーション実験を試み、S/N比改善の程度の評価を行った。加えてモジュレーションスペクトロスコピーの画像版である能動型画像処理への応用に付いてその基礎理論を確立した。これについては電子顕微鏡における球面収差除去処理に応用したい考えであり、目下共同研究者からのデータ提供を受けて実現の可能性を検討している段階である。とりわけこの分野においては信号雑音比の改善がきわめて重要であり、この様な最適化処理が実現できればその意義は大きい。
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