研究概要 |
数値積分の誤差は,被積分関数と誤差の特性関数と呼ばれる関数の積を複素積分する形で表現することができる.本研究の主たる目的は,二重指数関数型数値積分公式の誤差の特性関数の値を計算し,その絶対値の等高線図をユーザが容易にグラフィックディスプレイ上に表示できるようなソフトウェアを開発することにある.このソフトウェアを利用することによって,二重指数関数型公式による数値積分の誤差を,容易にかつ精確に推定することができる. 二重指数関数型公式の誤差の特性関数については,これまでにも研究代表者を中心に,有限区間用,半無限区間用など,個別に計算して等高線図として表示するソフトウェアをいくつか作成してきた.そこで本研究では,二重指数関数型数値積分公式の誤差の特性関数の計算を行うためのシステムを統一的に扱い,積分区間,積分の種類などを入力パラメータとして与えればあとは自動的に図を表示するシステムの開発を行った.また,二重指数関数型公式の拡張である大浦の公式に対しても,誤差の特性関数を計算して等高線図を表示するプログラムを作成した.さらに本研究では,二重指数関数型公式以外にNewton-Cotes公式とGauss型公式についても,その公式の誤差の特性関数の値を計算するプログラムを併せて開発した.これらのプログラムはすべてDIGITAL Visual Fortranで書いてあり,Windows95の上で作動するものである. 最後に,ユーザが容易にこのシステムを利用することができるように,Microsoft Visual Basicを使って,入力窓を通じて必要なパラメータを与えるだけで誤差の特性関数を計算してその等高線図を表示できるようなシステムを開発した.そして,新しく開発したプログラムのソースコードを含む,このシステムを利用するためのマニュアルを作成し,本研究の報告書としてまとめた.
|