| 研究概要 |
1, 本年度は本研究の二年目にあたり,初年度に構築した非接触のセンサによって時々刻々測定される片持ちはりの数カ所の変位データをもとに,柔軟構造物の(複数個の)物理パラメータを同時に同定するための(初年度に作成した)アルゴリズムを空間に依存する物理パラメータの形状をも同定可能なように大幅改良し,さらに実験によってアルゴリズムの有効性を立証した.初年度では主として未知パラメータは剛性パラメータと材質内部の減衰定数,さらにはりが振動する際に受ける空気による減衰定数の3種類のものが,空間的に一様,つまりすべてが未知定数であり,かつアルゴリズム動作がオフライン同定(予め変位データを採取しておき,これをもちいてアルゴリズムを別途作動させる方式)であるものを検討したが,本年度は新しくつぎの2点のアルゴリズムを作成した.
(1), 空間的に一様でない片持ちはり(断面形状が異なる)における上記3種類の未知パラメータ(空間変位を変数とする関数)を同定するアルゴリズムを確立した.更にこのアルゴリズムの有効性をコンピュータ・シミュレーションを行うことによって確認した.
(2), 空間的に一様な片持ちはりにおける上記3種類の未知パラメータ(未知定数)をオンライン同定(はりの変位データがコンピュータに入力される時刻に同期して同定計算を行う)により得るアルゴリズムを構築した.更にこのアルゴリズムの有効性をコンピュータ・シミュレーションを行うことによって確認し,さらに実際に初年度作成した実験装置から得られた実際の片持ちはりの振動時の変位データを用いた数値計算を行って本理論の有効性および実用性を確証した.実際のオンライン動作は次年度に行う.
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