研究課題/領域番号 |
09650082
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
堤 正義 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70063774)
|
研究分担者 |
平田 大介 早稲田大学, 理工学部, 助手 (50318797)
井戸川 知之 芝浦工業大学, システム工学部, 講師 (40257225)
|
キーワード | Ginzburg-Landau方程式 / 超電導 / 線形半群理論 / 差分スキーム / 臨界磁場 |
研究概要 |
外部磁場の下での超伝導状態の時間的変化を記述する、時間依存のGinzburg-Landau方程式に対する初期値問題の大域解の一意存在定理および時間無限大での漸近挙動に関する従来の研究は、主としてガレルキン法とエネルギー評価によるものであった。 本年度は、外部磁場および初期データに対するより適切な仮定の下に始めに、全空間R^3における初期値問題に対してL^2空間の枠組みで線形半群の理論と非線形項の適切な評価を用いて、解の一意存在定理を確立した。さらに、Navier-Stokes方程式のL^p理論における議論を用いて、その結果を、有界領域の内部と外部における初期値境界値問題の場合にL^3空間の枠組みで拡張することに成功した。さらに、その枠組みの中で自明解の安定性を示すことにも成功した。 また、時間依存のGinzburg-Landau方程式の数値解析は、ゲージの取り方に依存し、単に、方程式を離散化しただけでは、なかなか適切に現象を捕らえることができない困難さを抱えている。本研究では、時間ゲージを用いて方程式をうまく変形し、その離散化を考えると全自由エネルギーが時間とともに減少するような適切な差分スキームが構成できることに着目し、それを用いて第一種と第二種の超伝導状態の時間的変化を数値計算によって追いかけた。第一種では、臨界以上の磁場を掛けると、完全に常伝導状態に転移し、第二種では、磁場が量子化されて侵入することを示すことに成功した。さらに、Ginzburg-Landauパラメータと臨界定数磁場の関係を調べ、得られたグラフから物理理論の正当性を確認した。このことは、逆に、用いた差分スキームの適切性を示していることにもなる。
|