研究概要 |
昨年度の研究では,ブナやクマシデの葉に見られる,比較的規則正しくコルゲート状に折り畳まれている葉について,2次脈の中央脈に対する角度(葉脈角α)と折畳み・展開様式の関係を調べた。本年度は,コルゲート状に折り畳まれている葉であるが,平面的に展開するシデノキの葉とV字状に展開するハンノキの葉の展開様式の違いに着目し,葉脈間隔の計測や,折畳み数値モデルを用いたベクトル解析により,その違いが,谷折線である葉脈と,その間にある山折線の位置関係にあることを突き止めた。即ち,シデノキの葉では,葉脈間隔比a*(【approximately equal】a_2/a_1,a_1:谷折線-山折線間隔,a_2:山折線-谷折線間隔)がa*【approximately equal】1.0であるのに対し,ハンノキの葉ではa*【approximately equal】1.4となっている.a*【approximately equal】l.0の葉とa*【approximately equal】1.4の葉について,葉の大きさや葉脈角が同じであれば二つの葉が完全展開するまでの,葉の各部位の移動による運動エネルギーの総計には大きな差がないこと,a*【approximately equal】1.0の葉では折畳み時に葉脈が重なるが,a*=1.4の葉では葉脈の重なりを避けることができることが明らかとなり,折畳み時の葉脈が比較的太いハンノキは,a*≠1.0の葉脈間隔の 本年度のもう一つのテーマは,掌状脈系に沿ってジャバラ状に折畳まれたモミジの葉に見られるような折畳み・展開構造の研究であり,日本では最も一般的なモミジの一つであるヤマモミジの葉について,葉脈角や葉脈の長さ,葉身要素の面積分布等を計測し,葉脈の長さの比や葉脈角の差をパラメーターとして,展開時の総運動エネルギに及ぼすこれらのバラメーター影響について検討し,最適なこれらのパラメーターがヤマモミジの葉に採用されていることを確認した。
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