研究概要 |
本研究は、球状粒子焼結体のメゾスケール構造のシミュレーションとマクロ特性実験、および多孔構造の統計的性質の評価の3つの部分から成り立っている。 平成10年度は、主に、シミュレーション・コードの開発・改良とその実行、多孔構造の統計的定量的評価法、および、試料の製作を行った。 具体的には、(A)準静的落下モデルに基ずく球状粒子の運動方程式を解くことにより、コンピュータ内にランダムパッキングの構造モデルを構築した。ランダムパッキングの構造モデルの構築に当たり、容器壁面の影響を取り除くため周期的境界条件を採用し、さらに、容器底面尾影響を取り除くため乱数により底面の位置を上下した。容器の寸法と球状粒子の直径の比が12または16程度で十分なランダムパッキングが得られることを確認した。(B)非軸対称荷重及び軸対象荷重を受ける軸対称物体の有限要素解析コードおよび軸対称定常熱伝導の有限要素解析コードの開発と、それによる粒子ペアのバネ定数と熱抵抗係数の評価を行った。(C)3次元不規則構造物の構造解析によるマクロ特性(有効弾性係数や有効熱伝導率)の評価を行ない,最料的結果を得た。(D)コンピュータ内に出来上がった球状粒子多孔構造の統計幾何学的特性を評価した。研究計画になかった容器の大きさの影響に関し、新しい発見をすることができた。すなわち、有限の大きさの容器に等径球を重填した場合、その空隙率は容器の代表寸法と粒子直径の比に対し、2つのピークを持つことである。さらに、球状粒子構造のブラーンチの方位依存性を詳細に調べた結果,かなりの方位依存性かあることが分かった。このため,マクロ特性にも異方性が発生することが予測され,熱伝導率および弾性定数についてのシミュレーションを更に続けることにした。
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