研究概要 |
高温用先進材料はクリープ変形初期で第3次クリープ領域に入るものが多い.これら材料を安全かつ合理的な実機高温構造物の設計指針に組み込むため,第3次クリープ領域での変形挙動を多軸応力下で実験的に検討した.多軸応力状態は薄肉円筒試験片を用いた引張-ねじりクリープ試験機で行った.クリープ変形挙動を電気炉外でモニターするため,通常これら試験片にはツバをつけた.しかしながらこれらツバは,第3次クリープ領域のような大変形域では変形を拘束するため,薄肉試験片表面に一様な引張/せん断応力状態が現れない.このためいくつかスリットをこのツバに挿入して変形拘束を開放することとした.しかしながら何カ所のスリット数が必要最低限かは不明であった.このためスリット数が0,2,4,8の試験片をいくつか用意し,クリープ試験を途中で中断しながら,薄肉試験片の変形状態を随時計測した.この結果,スリット数が多くなるにつれ,ねじりに伴う座屈現象が顕著となった.逆にスリット数が少ないと,軸方向の変形が拘束され,ツバ間で一様変形が実現されないことが分かった.これよりスリット数は多い8個として,ねじり座屈前までの多軸応力状態下で,各種組み合わせ応力クリープ試験を実施すれば良いことが分かった.これを検証すべく,さらに汎用有限要素法プログラムを用いて,弾塑性クリープ解析を実施した.時間的関係より,今年度は比較対象となるスリット1個の薄肉円筒試験片しか解析できなかったが,実験結果と同様,スリットの拘束により一様変形が実現されていないことが確認できた.
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