研究概要 |
本研究では、硬質表面薄膜の疲労強度と材料健全性について評価が行われた。選ばれた皮膜材料は高速ガス炎溶射(HVOF)処理により溶射を行ったWC-12%Coサーメット皮膜である。 先ず、中炭素鋼(S45C)、低合金鋼(SCM435)およびチタン合金(Ti-6Al-4V)に対して上記のサーメット溶射を施した試験片、及びS45Cに13Cr鋼(SUS420J2)をガス溶線式(WFS)溶射を施した試験片を用いて回転曲げ疲労試験を室温、実験室大気中において行った。また、平面曲げ疲労試験が応力比0,-0.5及び-1においても行われ、疲労強度と破壊機構について検討した。次に、WCサーメット溶射材の転がり疲労試験が環状板試験片について行われた。この結果は、有限要素法(FEM)による応力分布から得られた結果と比較され、き裂発生位置に関する考察を行った。3番目に、表面超音波(SAW)の速度分布逆解析が用いられ、3種類の溶射材、すなわちNiCrAlY、CrNiMoSiBおよびWCサーメットについて弾性特性の推定が行われた。得られた結果は、単体試験片あるいはまた溶射材の3点及び4点曲げの力学的方法によって得られた値と比較された。最後に、WCサーメット溶射皮膜の破壊抵抗に及ぼす残留応力の影響を検討する目的で、3種類の異なる条件の溶射皮膜について評価を行った。AE原波形解析よって、準静的な4点曲げ荷重下においてき裂の発生とダイナミックスを検討するために用いられた。
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