レーザなどにより衝撃的に加熱を受ける傾斜機能材料に生じる熱波と熱応力波は、従来の古典熱弾性理論では表現出来ない複雑な伝播挙動を示す。本研究では、一般化された熱弾性理論に基づき、衝撃的に加熱を受ける傾斜機能材料に生じる熱波と熱応力波の伝播特性を、特性曲線法を用いて解明することを目的としている。 平成9年度は直角座標で定式化される平板や半無限体を対象として 1.一般化された熱弾性理論に基づいて、熱波および滅応力波の解析のための特性曲線方程式の誘導 2.特性曲線に沿う特性曲線方程式の離散化式の誘導 3. 数値計算のための汎用アルゴリズムの確立 を行った。具体的数値計算例としては、本解析法の妥当性、解の精度の吟味、数値計算アルゴリズムの確立のために、「レーザパルスを受ける有限媒質中の熱波および熱応力波の伝播挙動」の解析を行った。表面をランプ加熱される場合およびレーザなどにより直接的に内部発熱を受ける場合の均質平板の動的熱応力を、従来の古典熱弾性理論に基づく結果と本研究での一般化された熱弾性理論に基づく結果を比較検討した結果、極めて早い熱的じょう乱が生じる場合には、熱(温度)も波動としての伝播挙動を示し、本研究での緩和時間および連成項を考慮した解析が重要であることがわかった。さらに、数多くの数値計算を行い、緩和時間および慣性項が熱波および熱応力波に及ぼす影響を定量的に検討した。 次年度以降は、円柱座標で与えられる円筒の熱波と熱応力波の伝播特性の解明のための定式化を行い、更にこれらの結果を不均質材料としての傾斜機能材料に適用し、傾斜機能材料の組成分布が熱波および熱応力波に及ぼす影響を数値解析する。
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