研究概要 |
粒子・短繊維複合材料では,変形初期からはく離損傷,割れ損傷が進行し,強度特性に大きな影響を及ぼす.平成9年度は,これらの損傷の影響を明らかにするために,損傷を考慮した理論を構築するとともに,損傷過程と強度特性に及ぼす損傷の影響について実験を行った.平成10年度は,実験結果の損傷理論に基づく考察を行い,複合材料の強度特性評価および高性能特性発現機構の解明を行った.また,機能性材料としての形状記憶合金複合材料に関する基礎研究を行った. (1) 損傷理論に基づく変形,破壊の解析 損傷理論に基づいて,単軸引張下でのシミュレーション解析を行い,応力ーひずみ関係に及ぼす損傷の影響を明らかにした.また,はく離損傷,割れ損傷の理論に基づいて新たな有限要素法を開発し,き裂先端場の解析を行い,き裂先端での損傷の進行,応力・ひずみ場に及ぼす損傷の影響を明らかにした. (2) 実験結果の解析結果に基づく考察および高性能特性発現機構の解明 ガラス粒子分散ナイロン66複合材料についての実験結果と解析結果を比較することにより,静的負荷,繰返し負荷での損傷の蓄積過程,および引張強さ,破壊靭性,疲労強度,疲労き裂進展特性に及ぼす損傷の影響を明らかにし,高性能特性発現機構について検討した. (3) 形状記憶合金複合材料の開発 熱可塑性樹脂にTiNi形状記憶合金繊維を分散した複合材料を小型射出成形機により作成し,本材料の変形・変態挙動および強度特性に関して実験を行い,高性能発現材料としての可能性を探った.
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