研究概要 |
平成9年度から平成10年度まで,これまで得られているパラメータ因子毎の理論モデルを組み合わせた上で,細胞の自己増殖の過程を模擬したセルオートマトンの方法を用いて,一定のルールや制約条件のもとで容器内での合金の液相からの核生成や成長過程を,壁面からの方向性凝固や液相内の等軸晶的凝固並びに共晶的凝固を組み合わせて,確率論的に種々のミクロ組織を自動的に生成できるコンピュータシステムを構築した.解析では固相化に伴う潜熱放出や容器壁冷却及び熱対流による熱拡散過程を有限要素法により扱うマクロ場の離散化モデリングと,個々のサブ領域毎のミクロな凝固核生成や成長を伴うミクロ場の離散化モデリングの両方を連成させた上で,サブ領域毎の空間内の核生成・成長の確率過程に基づいて,任意のミクロ組織が自動生成できるようにした.また,マッシー状態で形成された柱状型,等軸晶型晶組織に流体循環を与えて,柱状型組織の粉砕による微細結晶化過程を,マクロ場の熱流体流れと電磁場の流体励振力解析,ミクロ樹脂状組織の高温粉砕過程の解析および粉砕粒子分散によるミクロ組織再構築の確率過程のコンピュータシステムも併せて構築した. 本年度は,以上の結果の妥当性を明らかにするためAl-Si系2元合金について種々に冷却条件を変化させた一連の凝固実験を行った.即ち,これ迄研究した手法に基づいて,Al-7%Si系2元合金およびFe-C系2元合金について種々に冷却条件を変化させた一連のミクロ-マクロ連成場の凝固シミュレーションを行うと共に,別途製作した双ロール連鋳設備や水平連鋳設備を用いて,上記2元合金系の凝固実験を行った.これより得られたミクロ組織観察結果と上述のシミュレーションの結果を比較して,本研究で開発した数値シミュレーション手法の有効性を明らかにした.
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