研究課題/領域番号 |
09650108
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 真宏 大分大学, 工学部, 助教授 (30170468)
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研究分担者 |
今戸 啓二 大分大学, 工学部, 助手 (80160050)
山本 隆栄 大分大学, 工学部, 助手 (20295166)
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キーワード | 疲労 / Al合金 / 炭素鋼 / き裂発生 / 雰囲気 / 統計的取扱い / き裂伝ぱ / 平滑材 |
研究概要 |
自然環境で予想される変動内の3つの実験室大気条件のもとで、時効硬化Al合金7075-6平滑材の回転曲げ疲労試験を行った。その際、疲労挙動のばらつき特性を考慮して雰囲気の影響を検討するため、同一応力下で複数(10本程度)の試験片を破断させ、表面の連続観察結果およびその統計的処理結果に基づいて、僅かな温度・湿度の変動が疲労挙動に及ぼす影響を統計的に検討した。以下に得られた主な結論を示す。 (1) S-N曲線には湿度の影響が大きく現れ、20℃・乾燥大気中(20-dry)が20℃・湿潤大気中(20-moist)および35°C・湿潤大気中(35-moist)より疲労寿命が大きい。また、温度の影響はあまり認められない。一方、疲労限度は疲労寿命に見られる程環境の影響を大きく受けないが、湿度が小さい方が疲労限度は大きくなる。 (2) き裂は表面の介在物と母相の境界付近を起点に発生し、発生後は介在物と母相の境界に沿って伝ぱする。その後組織の影響を受けなから母相内をせん断形で伝ぱするが、き裂長さが0.1mm程度を越えれば引張り形の伝ぱが支配的になる。なお、すべり帯を起点とするき裂発生形態も認められた。 (3) き裂発生寿命は湿度の影響を強く受け、湿度の低い方がき裂発生寿命は長寿命側に分布するが、温度の影響はあまり認められない。一方、き裂伝ぱ挙動は湿度の影響を受け、乾燥大気中の伝ぱ速度が湿潤大気中より大きいが、温度の影響はあまり顕著でない。 (4) き裂発生寿命、き裂伝ぱ寿命およびき裂伝ぱ速度は、いずれもワイブル分布で整理できる。また、この場合の変動係数の値に、環境の違いによる差は認められない。
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