研究課題/領域番号 |
09650116
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機械材料・材料力学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
末益 博志 上智大学, 理工学部, 教授 (20134661)
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研究分担者 |
郷津 勝久 上智大学, 理工学部, 助手 (40178439)
間島 理 上智大学, 理工学部, 助手 (90053678)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 複合材料 / 層間剥離 / 衝撃 / 有限要素法 / 圧縮座屈 / エネルギー解法率 |
研究概要 |
本研究は、有限要素法と基礎実験を通して衝撃損傷発生および圧縮特性劣化のメカニズムを明らかにし、異物衝撃による複合材料積層板の圧縮特性強度(CAI強度)のための基礎理論およびCAI強度評価実験改善のための基礎データを導き、より高性能な複合材料構造設計方法を構築していくための基礎研究である。当初計画通り、損傷累積問題および衝撃損傷後の板の圧縮強度低下に関して、実験および数値解析手法を用いて研究を行った。 衝撃損傷累積問題に関しては基礎的なメカニズムを明らかにするために静的な荷重を与えた。さらに実験中に内部損傷進展の挙動を観察することを目的としてあえてガラス繊維強化複合材料積層板を作製した。本実験でも衝撃実験で得られたと類似した損傷システムが得られた。すなわち繊維に平行なトランスバースクラックの発生ののち、層間剥離がトランスバースクラック端から発生したことが確認できる各層間では繊維方向のサイズが大きくなるピーナツ型の剥離が発生し全体ではほぼ円形の損傷になることが確認された。また同時に進めている数値計算結果は実験結果をよく説明できる。今後の衝撃荷重下での損傷累積過程のシミュレーションを行うにあたっての基礎が得られたと考える。 圧縮特性劣化に関しては、層間に大きさの次第に大きくなっていく人口剥離を導入し、変位制御による圧縮実験を行った。板厚がCAI実験用の試験片程度に厚くなると座屈後の比較的早い段階で表面に近い最も大きな剥離の伝播が発生することが確認できた。しかし最終破壊は表面剥離の進展ではなく中央面に近い剥離の荷重と直角方向への不安定な伝播が引き金となって発生している。多数の大きさの異なる層間剥離を有する積層板の有限要素モデル化を行い座屈後解析を行った。さらに各荷重ステップで破壊力学的なパラメータであるエネルギー解法率を求めることができた。有限要素解析結果は実験結果を定性的に非常によく説明する。しかし、初期の層間剥離伝播は安定的であり層間剥離伝播開始が最終破壊荷重ではないことが明らかになった。したがって数値計算により最終強度を推定するにはダメージの進展を含んだ解析が必要になることが分かった。この問題は非常に困難な問題であり今後の課題が残された形である。
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