粘性と時効の温度依存性を考慮した金属材料の非弾性構成式に関する研究

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650118
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 金子 堅司 東京理科大学, 工学部, 教授 (40016803)
• キーワード: 粘塑性 / 時効 / 金属材料 / 温度依存性 / 非弾性構成式 / 速度依存性 / 応力緩和 / 過応力

研究概要

航空機や原子力機器などの設計応力が比較的高い構造物の構造安全性や突発的な過負荷や疲労に対する余裕度を正確に予測するためには使用される材料の変形と強度についてのひずみ速度依存性を調べ、一般的な複合負荷にも対応できるように方程式として定式化する必要がある。
本研究は実用上も意義が大きいSUS316ステンレス鋼やアルミニウム合金について、その粘塑性変形特性と時効の温度依存性について実験的に調べるとともに時効を考慮した弾粘塑性構成モデルによるシミュレーション解析を行い、温度とひずみ速度が種々変動する場合の材料の変形応答を精度よく予測する手法の確立を目指している。
本年は、TiおよびA5056アルミ合金の引張変形における粘性と時効の温度依存性について実験を行った。室温ではほとんど時効を示さないTiが温度の上昇につれかなり動的に変動する時効特性を示し、安定した結果が得られにくいが一応の定式化に成功した。一方、アルミ合金では比較的小さい200℃程度の温度変化で大幅でしかも傾向性の乏しい時効変化を示し、定式化には至らなかった。
さらに、クロムモリブデン鋼SCM435の調質材について、室温下でねじり負荷での塑性変形中の時効現象の定量的な評価実験を行ない、引張りとねじりの変形機構の違いによる粘性と時効効果について検討し、ねじりせん断による変形の速度依存性に及ぼす時効の影響は引張の場合より小さいことが確かめられた。

研究成果

• [文献書誌] 小山田隆信,金子堅司: "金属材料の粘塑性特性とひずみ時効に及ぼす予加工と変形速度の影響、第三報、SCM435調質鋼に対する単軸応力下での応力制御負荷およびクリープに対する検討" 日本機械学会論文集. A編62巻595号. 234-238 (1996)
• [文献書誌] 小山田隆信,金子堅司: "金属材料の粘塑性特性とひずみ時効に及ぼす予加工と変形速度の影響、第四報、99.98%純銅に対する単軸応力下での引張り負荷に対する検討" 日本機械学会論文集. A編62巻597号. 147-153 (1996)
• [文献書誌] 矢崎健晴、金子堅司、小山田隆信: "金属材料の粘塑性特性とひずみ時効に及ぼす繰り返し負荷の影響、第一報SUS316Lステンレス鋼に対する単軸繰り返し負荷の場合" 日本機械学会論文集. A編62巻601号. 160-167 (1996)
• [文献書誌] K.Kaneko and,T.Oyamada and T.Yazaki: "Inelastic Constitutive Model Considering Viscosity and Aging" Proc.of 3rd Asia-Pasific Symp.on Advances in Engineering Plasticity and its Applications.217-222 (1996)
• [文献書誌] K.Kaneko and T.Oyamada: "Proposition of the Two Factors Constitutive model Considering Viscosity and Aging for Metals" Proc.of the Symp.on Plasticity and Impact Mechanics. 65-78 (1996)
• [文献書誌] 金子堅司、石川功治: "チタン材料の粘塑性・時効特性の温度依存性に関する研究" 日本機械学会第75期通常総会講演会講演論文集(II)(1998-3.31〜4.3,東京). No.98-1.
• [文献書誌] 金子堅司、豊島直也: "SUS316ステンレス鋼の粘塑性とひずみ時効に及ぼす温度の影響" 日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集(B)(1998-11.21〜22,熊本). No.98-5.
• [文献書誌] K・Kaneko and N・Toyoshima: "Viscoplastic Constitutive Model With Aging,(Influence of Temperature on Viscosity and Aging of SUS316 Stainless Steel" Proc.of PLASTICITY'99(1999.1.5^13,Cancun).