研究概要 |
本研究では,極微小加工機構を本質的に理解することを目的として,微小領域での力学情報の観測が可能なツールとして摩擦力顕微鏡に着目し,本来の表面評価機能に加えて極微小加工機能を重視した摩擦力顕微鏡一体型加工評価システムを新たに試作・構築した.さらに,それを用いた極微小加工実験を行い,得られた力学情報と画像情報から極微小加工にまつわる諸現象を理解するための基礎データを取得・分析した. 得られた結果を以下に示す. (1) 加工雰囲気や工具材料,被加工材(結晶方位含む)などを変化させた場合の加工特性を作用分力と加工形状の変化から把握し,極微小加工にともなう加工現象の特異生と支配因子を抽出した. (2) 極微小加工現象のモデル化を行うとともに,従来の加工原理と比較しながらそのメカニズムを検証した結果,切れ刃がダイヤモンドであることで従来の加工メカニズムに支配されたものであることがわかった. (3) 加工後の表面には加工変質層が存在しており,これがKOH水溶液によるエッチングにおいてマスキングの効果を示すことを明らかにした. 今後は,切れ刃にダイヤモンド以外の砥粒を用い,加工界面での物理化学現象の究明を行っていく.
|