本研究は、分散環境を構成する生産セルなどの要素を統合化する基盤技術としてのFA用ソフトウェア環境を試作し、分散協調型生産システムの実現やその知能化や高機能化のための総合的なFAソフトウェア開発規範を提案し、高い付加価値を持った生産管理や機器制御などの機能を持つFA用ソフトウェアの開発生産性を高め保守性の向上を図る事を目的とする。 本研究では、Glue Logicと命名したFA制御用基盤システムを実際に構築し、ネットワーク上に分散処理システムを実現した場合における、効率的なプログラミングの作成法、ソフトウェアの再利用を容易にするプログラミングの方法論、エージェント間の通信の確実かつ簡便な実現方法、さらには実時間での機器制御の限界の評価などを行なうことを主眼とした。 本年度は、まず将来のFMSを構成する核となる、製造セル制御用コンピュータのプロトタイプを作成した。さらに、このようなシステムで稼働し、基本的なシーケンス制御、システム監視などを実現する、再利用の容易なアプリケーション・プログラム・モジュール群を開発し、Glue Logicに基づく生産制御システムが生産技術エンジニアのワークロードを低減できることを示した。 また、基本的なアイデアやソースコードなどの成果物はInternet上で公開し、直接あるいは間接に潜在的な利用者からの要求も聞くことができた。 次年度以降は、実際に利用する立場のエンジニア達から吸い上げた要求項目を検討し、試作システムに反映させると同時に、さらなる研究の方向づけを行なう予定である。
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