研究概要 |
音響・振動計測による研摩加工の監視の可能性についてはすでに確認しているので,今年度は,測定技術の確立,発生音響・振動の周波数分布の解釈,および監視周波数の特定について研究を実施した. 1.測定技術の確立 微弱かつ高周波域までの音響を精度よく測定するため,研磨用重錘としてホーン状と円柱状のジグを設計し,それらに圧電セラミックセンサあるい加速度センサを取り付けた.前者は音響増幅,後者は共振を避けることを主に考え,周波数100kHzまで調査可能とした. 2.音響・振動の周波数分布の解釈 円柱状の模擬ラップと円柱状ジグの間に濃度15%のラップ剤を入れ,ラップを回転させずに上下振動を与えると,ジグは砥粒接触部がヘルツ応力に基づく等価ばねとなり固有振動数1.5〜2kHzの2次系の振動を起こした.砥粒径,ラップ圧力,砥粒数などの条件を変え,詳細な測定を行った.次に,ラップをわずかに回転させると音響・振動の様相は急に変わり,発生音響は0.5〜4kHzに分布するようになった.砥粒が移動し接触状態が時々刻々変化するためと考えられる. 3.監視周波数の特定 加工条件として,砥粒径,ラップ圧力,ラップ速度を変えて周波数分布を調べたところ,加工状況に関連して発生する音響のピーク周波数は0.5〜2kHzにあること,ある特定の周波数に着目してその音響レベルの変化をもとに監視するなら1〜3kHzが適していることなどが分かった. 今後は,加工の進行に伴う発生周波数の変化状況を観測することにより,研磨加工における監視技術の確立を図ると共に,加工のメカニズムを解明して行きたい.
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