研究課題/領域番号 |
09650137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
松原 十三生 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (20026032)
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研究分担者 |
馬淵 英二 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (80024264)
中村 隆志 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (40135314)
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キーワード | 微細ドリル加工 / 超高速回転 / 全静圧被削材ホルダー / 微小スラスト検出 / 微小トルク検出 |
研究概要 |
本年度は、まず静圧空気軸受で支持された超高速エヤ-スピンドルを用いて市販されている最小径0.04mmから0.1mmの微細ドリルによる微細加工システムの製作および性能評価を行った。このような微細ドリルでは加工によるスラストおよびトルクは極めて小さいが、ドリル強度も極端に低いために超低速で安定した被削材の送りを実現することが不可欠である。そのために購入した3軸ピエゾステージを用いた。その結果、最小送り速度10nm/rev.位置決め精度10nmが得られた。さらに、微細ドリルに作用するトルク、スラストを正確に測定するために、研究計画書に記載の通り、全静圧式被削材ホルダーを製作した。すなわち、空気静圧ラジアル軸受およびスラスト軸受を用いて被削材ホルダーを完全に浮かせ、回転防止にも静圧式プレートを用いて完全非接触被削材保持を可能にした。スラストおよびトルクはこの被削材ホルダーの軸方向および回転微小変位を非接触式ギャップセンサーで読みとり、あらかじめ検定したスラスト、トルク曲線より求めた。このようにして得られた本システムの測定分解能はスラストに対し1mN、トルクに対し0.1μNmであった。この分解能は今回用いた微小ドリルのスラスト、トルクの測定には十分な分解能であることが分かった。次に、この加工システムを用いて予備実験として被削材に0.1mmの銅板を用いて上記加工システムの加工性能評価実験を行った。その結果次のようなことが明らかとなった。1、ドリル回転数には最適速度が存在する。2、乾式加工では穴明け回数に伴って工具摩擦が急激な進行によるスラスト、トルクの上昇が見られ、工具折損が生じやすい。3、湿式切削では工具摩擦の進行が抑制され、工具寿命が長くなる。4、ステップフィードを用いることにより工具折損が改善できる。5、微小径ドリルにおいても超高速回転により流れ型切屑が生成される。以上の結果は本年3月に開催される平成10年度精密工学会春季大会で口頭発表予定である。来年度は高硬度IC基盤の微細穴ドリル加工を行う予定である。
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