パラレル機構を用い、金属の切削加工を目的とした工作機械を実際に製作した。パラレル機構としてボールねじと中空サーボモータを3組使い、ベースプレートから三角錐型に配置してエンドプレートの1点の位置を3自由度で制御する構造を採用した。エンドプレートにはギア付きサーボモータ2組を搭載し、仮設の主軸を計5自由度で駆動する。ベースプレートは廃品となったフライス盤の構造体を利用した。各サーボモータを固定するプレートは新しく設計・製作した。各ジョイントはボールベアリングを使用した。制御用コンピュータには汎用のパソコンとモータコントローラボードを使用し、ソフトウェアは自作したが、それでも十分な性能が発揮できた。 本研究で考慮している加工は鋼・アルミのエンドミル加工・ドリル加工・研磨であり、高い剛性と同時に高速運動性能が機械に要求される。そこで主軸先端の運動精度・速度・加速度・剛性の測定を行い、金属を切削加工するのに十分な性能が得られているかを解析した。各測定にはリニアスケールやストレートエッジと電気マイクロメータを使用した。そうして、3本のボールねじ長さの初期値やシリアル部のサーボモータの初期回転角などの機構のパラメータのキャリブレーションの効率的な方法を模索した。 また既存の小型高周波スピンドルモータを取り付け、ケミカルウッドとアルミニウムを対象に小径ドリル加工を試みた。すると、運動精度を向上させるためのキャリブレーションがドリル加工を安定しておこなうためにもには必要不可欠であることがわかった。
|