1.試作機の構造の変更 高い剛性と高速運動は特にエンドミル・ドリル加工機に望まれているものである。しかし、高い剛性を得ようとすれば各要素が大きく・重くなりがちであるので、この両者は両立するのは難しい。前年度まででは特に剛性面で満足な性能を得ることができなかったので、問題を解決するためにジョイント部の構造の見なおしを行うことにし、試作機を改造した。その結果、剛性は向上したが、寸法が大きくなったため運動性能としては一長一短であることがわかった。 2.新しい利用法の検討 エンドミル加工・ドリル加工だけでなく主軸に測定プローブをとりつけて3次元座標測定機として使用する可能性を検討した。 3.キャリブレーション方法の検討 パラレル機の運動精度を測定・検定する方法は今のところ絶対的なものがない。今回は、直交型工作機械の精度測定として広く使用されている円運動測定法を用いて機械のアクチュエータ長さやジョイント位置などのパラメータ誤差を同定する方法について研究を進めた。円運動測定装置としては交差格子スケールを用いるのが円中心位置や絶対半径の情報が正確に得られるため望ましいが、測定装置が高価であることや高度の据え付け技術が要求されるのでここでは採用せず、DBB測定装置を採用した。軌跡パターンの解析にフーリエ級数を導入したことにより、パラメータ誤差全部については同定はできなかったが主要なパラメータ誤差を求めることができ、機械の誤差が真円度で4分の1程度に向上した。
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