パラレル機構を用い、金属の切削加工を目的とした工作機械を製作した。パラレル機構としてボールねじとサーボモータを3組使い、ベースから三角錐型に配置してエンドプレートの1点の位置を3自由度で制御するハイブリッド構造を採用した。エンドプレートにはギア付きサーボモータ2組を搭載し、主軸を5自由度で駆動する。各ジョイントはボールベアリングを組み合わせた構造とした。 本研究で考慮している加工は鋼・アルミのエンドミル・ドリル加工・研磨であり、高い剛性と同時に高速運動制度が要求される。高速度運動性能は満足な結果が得られたが、剛性が不足したため設計変更を行い改造した。その結果、剛性は向上したが、寸法が大きくなったため運動性能としては一長一短であることがわかった。 従来の金属切削用工作機械は位置制御だけを取り入れているのがほとんどであるが、ドリル加工などに応用する際に力制御が行えればより高度な加工が可能となる。そこで、力制御の可能性について検討を行った。また、エンドミル加工・ドリル加工だけでなく主軸に測定プローブをとりつけて3次元座標測定機として使用する可能性を検討した。 パラレル機の運動精度を測定・検定する方法は今のところ絶対的なものがない。本研究では、直線運動精度の測定結果を用いる方法に加えて、円運動測定法を用いて機会のパラメータ誤差を同定する方法について研究を進めた。円運動測定装置としてはボールバー測定装置を採用した。軌跡パターンの解析フーリエ級数を導入したことにより、パラメータ誤差全部については同定できなかったが主要なパラメータ誤差を求めることができ、機械の誤差が真円度で4分の1程度に向上した。
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