研究概要 |
ダイヤモンドは,超精密切削用バイト等の精密工具として使用されているが,次世代の電子デバイスの材料としても期待されている.従来,ダイヤモンドの加工は機械的な研磨で行われてきたが,この方法のみでダイヤモンドの超精密・超微細加工を行うのは困難であり,その手段として,レーザービーム,電子ビームやイオンビームが用いられ始めている.しかし,ダイヤモンドの加工をイオンビーム加工法やリアクティブイオンビーム加工法などで行った場合,ダイヤモンド表面に生じる照射損傷層が問題となる.そこで,本研究では,活性ガスを用いた電子ビーム援用化学加工法をダイヤモンドの加工に適用した.その結果,穴,線,矩形の3パターンが酸素や水素ガスを用いてで加工できること,加工後の加工深さは,加工時間・走査速度が増加すると増加し、設定面積が大きくなると減少すること等が分かった.また,同一条件で加工した場合,酸素ガスを用いて加工する方が水素ガスを用いて加工するより加工速度がほぼ2倍になることが分かった.なお,加工後の加工痕をラマン分光により測定したところ,酸素と水素ガスのどちらを用いて加工しても,単結晶ダイヤモンドのピークのみ確認され,この加工による損傷は無いことが分かった.
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