研究概要 |
知的搬送スケジューリングシステムの開発 多品種少量生産工程では,個々の製品によって素材や半製品の流れが異なり,それが交錯したり,また多様化製品の需要の変動により生産工程の変更が頻発し,物の流れが複雑多様化する.そのため,効率的な搬送スケジュールの作成が困難となっている.そこで本年度は,平成10年度において移動ロボットによる搬送問題について検討した結果を基礎に,複数の移動ロボットによる協調的搬送スケジューリングシステムの開発を試みた.その目標は,与えられた搬送作業を各ロボットが分担し,その搬送順序を最小時間基準の下に決定することであった.これを実現するために遺伝的アルゴリズムを適用して各ロボットの搬送スケジュールを求め,このスケジュールから予測される搬送経路におけるロボット間の衝突を,片方のロボットが最小の損失時間で待機することによって回避するスケジューリング方法を開発した.そしてこのようなスケジューリングシステムを各搬送ロボットに搭載した.さらに,搬送ロボットに通信機能を付与し,それぞれが求めた搬送スケジュールを相手ロボットと相談し,より良いスケジュールを採択して搬送作業を実行する協調システムとした.以上のような自律的意思決定ができる搬送ロボットに,種々の搬送環境地図と搬送問題を与え,導出したスケジュールに基づいて搬送作業を実行させた.その結果,衝突もスケジュールからの時間的乖離もない搬送が行われることが確認された.
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