研究概要 |
搬送機能の異なる複数搬送システムに対する検討 複数の移動ロボットを用いて多数の並行する搬送作業を効率よく行うためには,個々の移動ロボットの知的性能に加え,移動ロボット全体としての作業性能も考慮する必要が生じる.例えば,本研究のように,所定の作業中に何らかのトラブルが発生し,移動ロボットが発生箇所に急行しなければならない場合,あるいは,どこかの通路が通行不能に陥った場合など,それまで従っていたスケジュールを変更し,緊急時に対応し,しかもその条件で効率のよいスケジュールを即時に求める必要が迫られる.従来では,このような事態に対して,個々のロボットが互いに通信し合い,結果として最適なスケジュールを再構築すればよいと考えられているが,あらかじめ考え得るトラブルを拾い出し,それに対する対応策を事前に用意しておく方法をとらないと,効率を考慮したスケジューリングは実際には困難であろうと考えられる.また,従来の研究では,個々の移動ロボットはすべて同じ性能(仕様)であることを前提とし,スケジューリングシステムのみで対処しようとされている.そこで,本年度の研究では,個々のロボットにおいて移動速度などの性能に違いを持たせた場合に,突発的スケジュールの変更に対してどのような影響があるかの検証を行った.基となるスケジューリングシステムは,昨年度本研究で開発したシステムを使用し,2台の移動ロボットの移動速度に差を持たせ,いくつかの設定条件下においてスケジューリングを行ったところ,速度差が大きい方が全体の作業効率は上がるが,条件が変化したときの効率の変動は大きくなることがわかり,複数の移動ロボットによる協調作業を考える場合には,個々の移動ロボットの性能の違いが全体作業に影響を及ぼすことが明らかになった.
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