研究概要 |
1.骨試験片の作成と微視的構造解析 ・光学顕微鏡を用いて牛大腿骨骨幹部の緻密骨断面を観察し、骨幹部の長軸方向を軸とする骨単位レベルの一軸異方性を確認した。 ・牛大腿骨の骨幹部から、長軸方向に対し0,30,45,60,90°傾いた方向を長手方向とする薄い平板状の試験片を作製した。 2.生体骨構成法則の定式化 ・インストロン材料試験機を用いて1.で作製した試験片の引張試験と4点曲げ試験を行い、牛大腿骨の骨組織の応力-ひずみ関係を測定した。 ・その結果を基に、骨組織の一軸異方性を考慮した巨視的な構成法則を連続体力学で定式化した。 3.白色X線による生体骨のX線的弾性定数測定 ・1.で作製した骨軸方向が既知の骨試験片を4点曲げ試験装置によって負荷し、白色X線を用いて内部のひずみ分布を測定した。このことから牛大腿骨骨組織のX線的弾性定数を同定した。 4.白色X線による骨異方性残留応力測定理論の定式化。 ・生体骨内の残留応力分布を測定するため、一軸異方性を考慮した白色X線残留応力測定理論を定式化した。 5.生体骨の残留応力測定 ・上記の白色X線残留応力測定法を用いて、牛大腿骨骨幹部の骨組織内の残留応力を測定した。その結果、牛大腿骨骨幹部の長軸方向に、骨幹前部で約15MPa、後部で約40MPaの引張り残留応力が認められた。
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