1. 生体骨のりモデリングと残留応力の関係評価 ・インプラント挿入による骨のリモデリングと残留応力の関係を評価するためには、生体内にインプラントがある状態で長期にわたり適当な時間間隔を置いて残留応力の変化を追わなければならない。そのためには、無侵襲、すなわち測定対象を加工することなく、直接皮膚の上から生体骨の残留応力を測走する手法を確立する必要がある。 ・そこで、特性X線を用いて生体骨の無侵襲残留応力測定法を開発した。実際に本法を用いて家兎脛骨の残留応力を測定した。その結果、骨軸方向に約36MPaの引張残留応力が測定された。比較のため皮膚のみ除去して測宝した場合は、約40MPaの引張残留応力であった。このことがら、本法は生体骨の無侵襲残留応力測定法として有用であることが確認できた。 2. イプラントの機能設計手法の開発 ・コーティングインプラントのコーティング界面近傍の残留応力低減と異種材間の接合性を向上させるため、中間層を介在する試みがなされている。接合性の向上についてはいくつか報告があるが、残留応力低減について確認した例はほとんど無い。 ・そこで、中間層を有するコーティングインプラントのコーティング層と基材の残留応力を同時に測定する方法を開発した。実際に、チタン基材に、中間層としてチタニア、コーティング層にハイドロキシアバタイトを溶射した試料を作製し、コーティング層と基材の残留応力を測定した。その結果、中間層を介在させることによって、コーティング層の残留応力が減少することを確認した。 3. 研究のまとめ ・本研究の成果をまとめ、生体骨の残留応力とインプラントの機能設計に関する総合的な考察を行い、今後の発展を計った。
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