研究概要 |
種々の焼結条件(圧力;0.75〜1.5GPa、温度;400℃、時間;1,7時間)で製造されたナノ結晶体TiO_2(チタニア)セラミックス(相対密度は理論値の95%、粒子径は最大でも40nm、硬さはl.5GPaのときHV=800程度)、および放電プラズマ焼結法(加圧力;47.7MPa、温度:930℃)で製造されたチタニアセラミックス(HV=1100,見かけ気孔率3.8%)を軸受鋼と組合わせて、ブロック(チタニア)・オン・リング(軸受鋼)摩耗試験を行った。その結果、次の点が明らかになった。 1. ナノ結晶体チタニアの摩耗率は、焼結圧力が増加するほど小さくなる。開気孔率が約0.1%になると、摩耗率は約10%のそれらに比べて1/1000程度になる。その摩耗率は同じ条件で行った汎用のセラミックスの摩耗試験結果と比較すると、Al_2O_3よりもわずかに大きく、ZrO_2やSiCとほぼ同じである。 2. 放電プラズマ焼結チタニアの摩耗率はすべり速度にともなって増加し、v=lOm/sで最大値を示した後減少する。一方、荷重が大きくなると、摩耗率は単調に増加する。チタニアはAl_2O_3やSiCに比べて低速域(v≦0.1m/s)で良好な耐摩耗性を示す。またチタニアの摩耗率も比較的小さく相手材の軸受鋼への攻撃性も小さい摩擦条件は、v≦1m/sであった。 3. チタニアと軸受鋼の摩耗特性を両者の高温硬さの相対関係と対比させると、チタニアの摩耗特性は、機械的な脆性破壊よりも温度変化に基づくき裂の発生とその伝播による表面破壊に支配されているものと考えられる。 以上の結果から、先進チタニアセラミックスの製造法と基本的なトライボロジー特性およびトライボマテリアルとして活用できる摩擦条件が明らかになった。
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