H9年度には、各種組合わせの繊維系および粒子混合系複合材について試験片を試作し、1次評価(強度、摩擦摩耗試験)を行い、それぞれの複合系において低摩擦と高摩擦の候補材を選定した. 1 繊維系複合材(多孔性) COPNA樹脂/炭素繊維 複合材の500℃炭素化物では、曲げ・引張り強度とも炭素化前より数分の一低下するが、耐熱性は向上し、潤滑・無潤滑下において面圧・すべり速度・温度に対して安定な高摩擦(μ=0.15〜0.2)低摩耗を示し、摩擦材として有望である. 一方、低摩擦・低摩耗のしゅう動材としては、フェノール系樹脂/炭素繊維 複合材およびその炭化物が有望で、現在、高面圧で形成される有効な潤滑膜について解析検討中. 2 粒子混合系複合材(非多孔性) COPNA樹脂/黒鉛粒子 複合材では、耐荷重能は黒鉛量と共に増加し低摩擦(約μ=0.10)になるが、約300℃以上で摩擦が急増し潤滑限界になる.この複合材の500℃炭素化物では、強度は減少するが、さらに低い摩擦(約μ=0.05以下)・低摩耗を500℃まで維持し、新しいしゅう動材として有望である.その摩擦面には、前記と同様、非常に薄い有効な潤滑膜が認められ、現在解析中. 一方、COPNA樹脂/その炭素化物粒子(難黒鉛性)複合材について注目したが、底面圧で高摩擦であるものの高面圧で低摩擦になり、摩擦材としては不適である.
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