平成9年度に行った研究の成果は以下の通りである。 1)熱化学非平衡を考慮した非定常極超音速衝撃波干渉流れの数値解法の開発 TypelV衝撃波干渉流れを反応がある非理想気体の状態について数値解析するために、Parkの2温度化学反応モデルに基づく熱化学非平衡コードを開発した。空間方向には4次精度コンパクトMUSCL TVDスキームとAUSM DVを、時間方向にはニュートン反復を施した時間最大2次精度のLU-SGSスキームを用いた。これにより計算された計算結果と反応を無視した場合の計算結果とを比較した場合、衝撃波干渉の形態が全く異なった非定常流れになることが示され、熱化学非平衡を考慮した非理想気体流れの数値計算の必要性が示された。本研究成果は、米国航空宇宙学会にて発表している。 2)湿度を考慮した非定常遷音速衝撃波/渦干渉流れの数値解法の開発 相対湿度を考慮した非定常遷音速流れを数値解析するために、古典凝縮論の非平衡凝縮モデルに基づく気液二相流コードを開発した。空間方向には4次精度コンパクトMUSCL TVDスキームと流束差分離法を、時間方向にはニュートン反復を施した時間最大2次精度の対角化近似因子化法を用いた。高迎角に設定した2次元NACA0012翼の周りの遷音速流れを数値解析した結果、翼上面に発生した非定常衝撃波/境界層干渉に連動した非平衡凝縮が起こることが示された。さらに、この干渉から発生した非定常後流渦中においても急激な圧力の減少に伴う凝縮が発生し、後流自体が不安定になることがわかった。本研究成果は、日本機械学会流体工学国際会議にて発表している。
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