平成10年度に行った研究成果は以下の通りである。 1) 非定常三次元極超音速衝撃波/衝撃波干渉流れの計算コードの開発 熱化学非平衡を伴う非定常三次元極超音速衝撃波/衝撃波干渉流れを計算するための計算コードのベースとなる理想気体コードを開発し、数値解法の妥当性を検証した。衝撃波と境界層が干渉して複雑な非定常流れになることが実験により報告されている平板上の鈍頭フィン周りの極超音速流れを計算した結果、その非定常性が、複数のはく離衝撃波、衝撃波干渉に伴う複数の超音速ジェットならびに複数のはく離渦が複雑に干渉し合うことにより生じていることが計算により明らかとなった。本研究成果は米国航空宇宙学会にて発表している。 2) 三次元飛行機雲計算コードの開発 湿度を伴った非定常三次元遷音速衝撃波/渦干渉流れを計算するための計算コードのベースとなる三次元遷音速翼周りの湿り空気流れ計算コードを開発し、湿り空気の急激な膨張に伴って発生する非平衡凝縮(飛行機雲)の計算を行った。その結果、相対湿度を増加させるに伴い、翼周りの非平衡凝縮は翼性能を急激に悪化させることが計算により得られ、実在する大気中を航行する航空機の性能を評価する上で、相対湿度を考慮することが重要であるという知見を得た。本研究成果は、フランスボルドーで開催された第16回数値流体力学国際会議にて発表している。
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