平成11年度に行った研究成果は以下の通りである。 1)非定常三次元極超音速熱化学非平衡衝撃波/衝撃波干渉流れの計算コードの開発 前年度開発した非定常三次元極超音速衝撃波/衝撃波干渉流れの計算コードに、平成9年度開発した熱化学非平衡コードの計算アルゴリズムを組み込んで、熱化学非平衡を伴う非定常三次元極超音速衝撃波干渉流れの計算コードを完成させた。極低温の風洞実験では、超音速ジェットがフインに衝突していないことが報告されている三次元フィン周りの極超音速衝撃波干渉流れについて、主流温度を増加させ、熱化学非平衡を伴う流れ条件で計算したところ、衝撃波離脱距離が実験結果に比べて著しく減少し衝撃波干渉形態を変化させることが明らかとなった。特に、超音速ジェットがフィン表面に衝突することにより予想以上の空力加熱が生じる可能性があることが示唆され、熱化学非平衡性の考慮が重要であることが立証された。本研究の成果は、2000年6月にコロラドで開催されるALAA Fluid Dynamics Conferenceで発表する。 2)軸対称電磁プラズマ粘性流れの計算コードの開発 MPDスラスター内の非平衡電磁プラズマ流れを計算するコードのベースになる軸対称電磁プラズマ粘性流れの高効率陰的差分解法に基づく計算コードを開発した。圧縮性ナビエ・ストークス方程式と、マクスウェル方程式ならびにオームの法則から導出された電磁場の誘導方程式を連立して解くためにLU-SGS法と点陰解法に基づく陰的差分解法を新たに開発した。これを用いることにより、従来は緩和法などで流れの方程式とは分離して計算されていた誘導方程式を流れの方程式と全く同じ計算アルゴリズムで計算することができるようになり、また解の収束性を加速することに成功した。本研究の成果は、日本機械学会論文集に掲載予定である。
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