ディスク形MHD発電機では、発電流路入口部に放射状ノズル列(スワールベーン)を設け、ローレンツ力の作用による旋回とは逆向きの旋回を予め与えておくことにより、断熱効率の向上を図ることができる。かかるスワールベーンとして、従来は、平行流生成用の対称形超音速ノズルを用いていたため、ベーンの両端で、流れに非対称が生じ、ベーン出口円周上に流速の不均一が発生するという問題点があった。 そこで、本研究では、均一流速の出口条件から、入口に向って1流線の仮定の下に、特性曲線法で設計するという新たな非対称ベーンの設計法を提案し、流れの均一化と、全圧損失の低減化の効果があることを、風洞実験によって確認した。実験では、上記の新たな手法に基づいて設計されたスワールベーン2枚と、隣り合う2つのベーンの形状を型どった流路壁によって構成された観測モデルを製作し、作動流体を窒素とする超音速風洞で、マッハツェンダー干渉計を用いて流れの可視化を行った。また、光学窓と交換して、二次元的にピト-管を分布させた部品を取り付けることで、円周方向の全圧分布を計測した。 実験の結果、新たに設計したスワールベーンでは、ほぼ均一な超音速旋回流を生成することができた。また、これにより、ベーン後縁部での流速差が減少し、衝撃波および後流渦列等の全圧損失を生む現象も緩和され、従来のタイプのスワールベーンに比べて、全圧損失を抑制できることが示された。それと同時に、亜音速部の一層の最適化が必要であることもわかった。
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